GR召喚は環境を壊した。 中編

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超天篇第3弾は怒涛のカードパワーから幕を開けた。

 

DMRP-11 超天篇 第3弾

零誕! 魔神おこせジョルネード 1059 

GR召喚は壊れた。

これまでのGRクリーチャーは《ドドド・ドーピードープ》、《グッドルッキン・ブラボー》、《鋼ド級 ダテンクウェールB》などが殴るデッキで使われることが多かった。

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デッドダムドミラーの鍵になるカードもまたGRに関連するものであった。

無修羅デジルムカデ 闇文明 (5)
オレガ・オーラ:マフィ・ギャング/デリートロン +4000
これを付けたクリーチャーに「パワード・ブレイカー」を与える。(「パワード・ブレイカー」を持つクリーチャーは、そのパワー6000ごとにシールドをさらに1つブレイクする。)
相手のクリーチャーは、タップしてバトルゾーンに出る。
オレガ・オーラ:これを自分のGRクリーチャー1体に付けるか、1体GR召喚してそれに付ける。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れたら、これも同じゾーンに行き、その後、そのGRクリーチャーは自分の超GRの一番下に戻る。

少し時は遡るがGR召喚を行うギミックとして登場していた「オレガ・オーラ」は第2弾で登場したマスターカード、《大卍罪 ド・ラガンザーク 卍》によって一時【黒単オーラ】として環境に登場していた。しかし、【デッドダムド】が登場したことで環境から駆逐されてしまい「オレガ・オーラ」は【デッドダムド】が《無修羅デジルムカデ》を使うのみとなっていた。

第3弾で登場した「マナドライブ(6)」持ちはコントロールデッキにおけるGR召喚の価値を爆発的に高めるデザインとして世に解き放たれた...はずであった。

確かに高まった。高まりすぎた。

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天啓 CX-20 水文明 (4)
GRクリーチャー:トリックス/デリートロン 2000
マナドライブ6(水):このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのカードが6枚以上で水文明があれば、カードを3枚引いてもよい。
(ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札には含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す)

マリゴルドIII 自然文明 (4)
GRクリーチャー:グランセクト/デリートロン 3000
マナドライブ6(自然):このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのカードが6枚以上で自然文明があれば、コスト5以下の進化ではないクリーチャー1体またはコスト5以下のオーラ1枚を、自分のマナゾーンから出してもよい。
(ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札には含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す)

ダダダチッコ・ダッチー 火文明 (4)
GRクリーチャー:ビートジョッキー/ワンダフォース 2000|
マナドライブ6(火):このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのカードが6枚以上で火文明があれば、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。それがコスト6以下の進化ではないクリーチャーならバトルゾーンに出す。それ以外なら山札の一番下に置く。
(ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札には含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す)

 《天啓 CX-20》はあの《サイバー・ブレイン》と同じ枚数をGR召喚したオマケでドローすることができる。実質的には1マナ3ドローともいえる。

《マリゴルドⅢ》はマナからさらにGR召喚を行うことができるクリーチャーを出すことで連鎖的にGRゾーンを掘り進めることができるようになる。しかもこの能力に文明指定はない。

《ダダダチッコ・ダッチー》はデッキの一番上からであるが故にリソースを失うことなく不確定ながらもさらなる展開を可能としている。

 

GRゾーンを使うデッキでは基本的に上の3種を使うこととなり、《天啓CX-20》を使わないデッキであれば《ドドド・ドーピードープ》、《グッドルッキン・ブラボー》 を使うのが一般的となった。もはやただパワーが高いバニラも1枚しか引けないクリーチャーも使われるわけがなくなっていき、強力なマナドライブ持ちか《ポクタマたま》のようなオンリーワンな能力を持つGRクリーチャーしか使われなくなっていくのであった。

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最初期は使われていたが今ではもはや見る影もない

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スゴ腕プロジューサー 水文明[ジョーカーズ] (5)
クリーチャー:ジョーカーズ/ワンダフォース 3000
ブロッカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時またはバトルゾーンを離れた時、GR召喚する。
りんご娘はさんにんっ娘 自然文明[ジョーカーズ] (6)
呪文
S・トリガー
このカードをバトルゾーンに出す。
このターンの終わりに、このカードをバトルゾーンから自分のマナゾーンに置く

DROROOON・バックラスター 火文明 (4)
クリーチャー ビートジョッキー/ワンダフォース 4000+
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、GR召喚する。
自分のGRクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーを1体選んでもよい。その選んだクリーチャーとこのクリーチャーをバトルさせる。
バトル中、このクリーチャーのパワーを+2000する。

続召の意志 マーチス 光文明 (3)
GRクリーチャー:メタリカ/ワンダフォース 1000
マナドライブ5(光):このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのカードが5枚以上で光文明があれば、GR召喚する。(GR召喚:自分の超GRの上から1枚目を、コストを支払ったものとして召喚する)
(ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札には含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す)

GR召喚を行うカードも汎用性の高さが目立つようになってきており、

《スゴ腕プロジューサー/りんご娘はさんにんっ娘》は色マナの確保・受け・マナ加速という1人3役をこなせるカードとして登場以来評価をあげていくこととなった。

《DROROOON・バックラスター》は環境のパワーラインを超えることでビートダウンに対して圧倒的なバリューを見せつけ、後続のGR召喚カードすら除去へと変えてしまうビートダウンでもコントロールでも使える優秀なカードだ。

《続召の意志 マーチス》は条件はあるもののGR召喚を行うことができるGRクリーチャーとしてコンセプトを破壊しているカードとしてギミックを密かに蝕んでいた。

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オレガ・オーラも3弾までくれば実用的なものが増えてくる。

*/弐幻サンドロニア/* 水文明 (3)
オレガ・オーラ:トリックス/デリートロン +2000
これをクリーチャーに付けた時、カードを3枚引く。その後、自分の手札を2枚、好きな順序で自分の山札の一番下に置く。
オレガ・オーラ:これを自分のGRクリーチャー1体に付けるか、1体GR召喚してそれに付ける。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れたら、これも同じゾーンに行き、その後、そのGRクリーチャーは自分の超GRの一番下に戻る。

解罪 ジェ霊ニー 闇文明 (5)
オレガ・オーラ:マフィ・ギャング/デリートロン +2000
無月の大罪1(このオーラを使うコストを1少なくしてもよい。そうしたら、このターンの終わりに、自分のクリーチャーを1体破壊する)
これをクリーチャーに付けた時、相手の手札を見て1枚選び、捨てさせる。
オレガ・オーラ:これを自分のGRクリーチャー1体に付けるか、1体GR召喚してそれに付ける。そのクリーチャーがバトルゾーンを離れたら、これも同じゾーンに行き、その後、そのGRクリーチャーは自分の超GRの一番下に戻る。

《*/弐幻サンドロニア/*》は3マナで手札調整をしながらGRクリーチャーを展開できるということで青入りのビートダウンデッキ、特に【赤青覇道】で好んで使われた。

《解罪 ジェ霊ニー》はあの《解体人形ジェニー》のオレガ・オーラ版リメイクでありその性能は健在、後期型【デッドダムド】に入っていた《解体人形ジェニー》の枠を奪い取りその実力を見せつけた。

 

 

そうした中、あるデッキが環境に登場した。

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サンプルリスト【シータt白ミッツァイル】

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神秘の宝箱 自然文明 (3)
呪文
自分の山札を見る。その中から自然以外のカードを1枚選び、自分のマナゾーンに置いてもよい。その後、山札をシャッフルする。

Wave ウェイブ 水文明 (5)
クリーチャー:トリックス/ワンダフォース 5000|
このクリーチャーが召喚によってバトルゾーンに出た時、コスト4以下の呪文を1枚、自分の墓地からコストを支払わずに唱えてもよい。
各ターン、自分が1枚目の呪文を唱えた時、GR召喚する。(GR召喚:自分の超GRの上から1枚目を、コストを支払ったものとして召喚する)

ハリケーン・クロウラー 水文明 (5)
クリーチャー:アースイーター 4000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の手札をすべてマナゾーンに置く。その後、それと同じ枚数のカードを自分のマナゾーンから手札に戻す。
ブレイン・チャージャー 水文明 (4)
呪文
カードを1枚引く。
チャージャー(この呪文を唱えた後、墓地に置くかわりに自分のマナゾーンに置く)

このデッキの基本的な動きはまず《霞み妖精ジャスミン》《フェアリー・ライフ》でマナ加速を行い《DROROOON・バックラスター》や《知識と流転と時空の決断》、《Wave ウェイブ》で盤面を広げていき6マナを目指す。6マナになればマナドライブ(6)が解禁されるため、盤面のクリーチャーを巻き込み《BAKUOOON・ミッツァイル》を出してGR召喚を連打していく。《天啓 CX-20》でドローを進めれば2枚目以降の《BAKUOOON・ミッツァイル》にアクセスもでき、さらに展開したい時は《マリゴルドⅢ》で《ハリケーン・クロウラー/ブレイン・チャージャー》を場に出すことで実質的にマナをアンタップすることができる。マナドライブ持ちGRクリーチャーがGRゾーンを当然のように2周し、莫大なアドバンテージと盤面展開を可能としている。最終的には《単騎連射マグナム》と《音精ラフルル》を《マリゴルドⅢ》で出すことで安全にフィニッシュに繋げることができる。

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全てのデュエマプレイヤーが頼り、恐れ、怒りを感じた史上最悪のコンボ。デュエルマスターズの醍醐味でもあるシールドトリガーによる反撃を(ほぼ)完璧に封殺してしまう。

《神秘の宝箱》は《音精ラフルル》をマナに置くことでマナドライブ(光)の準備をしたり《マリゴルドⅢ》の能力で出すクリーチャーをマナに置いたりと器用な動きができるカードだ。

毎ターン2体3体と盤面にクリーチャーを並べていくことが可能となっており、【デッドダムド】の盤面処理が間に合わずこちらの《BAKUOOON・ミッツァイル》が間に合うという展開になることが多く、環境的にも有利な立ち位置となったことで瞬く間に環境トップへと進んでいった。

【シータミッツァイル】が文句なく環境トップとして君臨し、【デッドダムド】がそこに追いつくようなメタゲームで開催されたGP9thであったが優勝デッキには《BAKUOOON・ミッツァイル》の姿はなかった。TOP8の中にも【シータミッツァイル】はただの1つだけであった。

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DMGP-9th優勝デッキ、【カリヤドネループ】。

《機術士ディール/「本日のラッキーナンバー!」》の呪文側、《「本日のラッキーナンバー!」》がコストが4に固まっているGRクリーチャーに対して絶大な効果を発揮し、稼いだターンを使ってループに入っていた。

 では《BAKUOOON・ミッツァイル》は、GRクリーチャーは負け組となってしまったのか。

否。

TOP8には【赤単ミッツァイルブランド】が3人入賞しており、《BAKUOOON・ミッツァイル》を使わないGR召喚デッキとしては【メルゲドッカンデイヤー】が入賞していた。TOP16まで目を向ければ【緑単tミッツァイルループ】が存在する。

 

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【赤単ミッツァイルブランド】。1マナのクリーチャーを並べて殴りながら《BAKUOOON・ミッツァイル》で優秀なGRクリーチャーへと変換して殴りきる。

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【メルゲドッカンデイヤー】。《生命と大地と轟破の決断》から《アクア・メルゲ》と《MEGATOON・ドッカンデイヤー》を同時に出すことで簡単に言うとゲームに勝つ。

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【緑単tミッツァイルループ】。こちらも《生命と大地と轟破の決断》から始動しループに入り勝つ。


【赤単ミッツァイルブランド】はある意味で《BAKUOOON・ミッツァイル》の開発が想定した使い方だったといえるだろう。

だがプレイヤー達は《BAKUOOON・ミッツァイル》はループの核であると認識していた。

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《ツタンメカーネン》は強制的にお互いがドローする能力を持つ。加えてメインデッキに入れる必要の無いカードなので無駄牌になり辛いと来れば当然フィニッシャーになる。後は自分のデッキを修復する手段さえ用意しておけばいいだけ。

こうして環境は1ショットキルかループコンボか、そして様々なデッキに《BAKUOOON・ミッツァイル》という《無双龍機ボルバルザーク》を彷彿とさせる環境、「ミッツァイルマスターズ」へと変化していくのであった。

 

DMEX-07 「必殺!!マキシマム・ザ・マスターパック」

GPから2週間後、事件は起きた。(と言っても、収録カードの情報自体は公式からのチラ見せで判明はしていたのだが。)

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「4000円払ってルールブックを買う。」の元ネタはここで登場した。

全能ゼンノー 無色[ジョーカーズ] (4)
GRクリーチャー:ジョーカーズ/ワンダフォース 2000
相手のクリーチャーは、バトルゾーンに出たターン、攻撃できない。

“魔神轟怒”万軍投 火文明 (6)

呪文
マスターG・O・D・S(この呪文を、自分の手札を1枚捨てて、唱えてもよい。そうしたら、このターン中に捨てた自分の手札1枚につき、この呪文を唱えるコストを2少なくする。ただし、コストは0以下にはならない)|
GR召喚を3回する。

回収 TE-10 水文明 (3)
GRクリーチャー:トリックス/デリートロン 1000
マナドライブ5(水):このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンのカードが5枚以上で水文明があれば、呪文またはオーラを1枚、自分の墓地から手札に戻してもよい。
(ゲーム開始時、GRクリーチャーは山札には含めず、自分の超GRに置き、バトルゾーン以外のゾーンに行った場合、超GRの一番下に戻す)

 《全能ゼンノー》は【ミッツァイル】同型において殺しきれなかった時の保険として使われることが多かった。【デッドダムド】の《虹速 ザ・ヴェルデ》の対策にもなっておりGRクリーチャーの封入率も相まって高額で取引されている。

《“魔神轟怒”万軍投》は4マナで3回のGR召喚ができるという明らかにオーバースペックなカードとしてプレイヤーから不安な声が出ていた。

《回収 TE-10》はcipでアドバンテージを稼げるGRクリーチャーとして【シータミッツァイル】で使われることになる。また、《“魔神轟怒”万軍投》との相性には目を見張るものがあり、組み合わされて使われいくことになった。

 

そしてここで新たな【ミッツァイル】デッキが開発され、再び環境を席捲していくこととなる。

 

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あの【赤緑ジョーカーズミッツァイル】が色を変え再び環境に現れる。

続く