【身内向け簡単解説】ドキンダムって何?

 ゲーム開始時、君はシールドを5枚置いて手札が5枚になるようにドローして準備を進めていた。

 

対戦相手は...何やらカードを1枚盤面に出してその上に山札から6枚のカードを置いてからシールドと手札を準備したぞ?

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今回はこの奇怪な盤面をゲーム開始時に作り出す《禁断 ~封印されしX~》について見ていこう。

 

まず《禁断 ~封印されしX~》とは何か。

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禁断〜封印されしX〜 火文明 (マナコストなし)
禁断の鼓動
・この鼓動は、ゲーム開始時、封印を6つ付けてバトルゾーンに置く。
・この鼓動はバトルゾーンを離れない。
・禁断解放―この鼓動の封印がすべてなくなった時、クリーチャー側に裏返す。

(カードを封印するには、自分の山札の上から1枚目を裏向きのままそのカードの上に置く。コマンドがバトルゾーンに出た時、その持ち主はそのコマンドと同じ文明を持つ自身のカードから封印をひとつ、墓地に置く。クリーチャーが封印されている間、両プレイヤーはそのクリーチャーを無視する)

 クリーチャー側に裏返すとあるが、裏返した面がこれだ。

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伝説の禁断 ドキンダムX 火文明 (99)
禁断クリーチャー:(種族なし) 99999
・T・ブレイカ
・このクリーチャーが禁断解放した時、相手は自身のクリーチャーすべてに封印をひとつ付ける。
・コスト4以下の呪文によって、相手がクリーチャーを選ぶ時、このクリーチャーは選べない。
・このカードがバトルゾーン以外のゾーンにあれば、自分はゲームに負ける。

 ...いろいろと聞きたいことがあるだろうが落ち着いてひとつひとつ見ていこう。

 

まずは《禁断 ~封印されしX~》からだ。

この《禁断 ~封印されしX~》、両面カードだがデッキ構築段階ではメインデッキの40枚に含まれる。超次元ゾーンではなく、メインデッキだ。

なぜそんなことが起きるのか。

それが最初のテキスト、「・この鼓動は、ゲーム開始時、封印を6つ付けてバトルゾーンに置く。」である。

これにより、シャッフルすることなく盤面に置いてゲームを始めることができる。なんなんだこのカードゲーム。

そしてその上に6枚のカードを置いて、シールドを置いて、初手を準備して...《禁断 ~封印されしX~》の1枚+封印6枚+シールド5枚+手札5枚でデッキの残り枚数は23枚になる。圧縮しすぎだ。もちろんこんなカードが複数枚デッキに入れられるわけがなく、発売前に殿堂入りしている。(現在はルール改定により、ゲーム開始時にバトルゾーンに出せるカードは1セットだけとなっている。他にもゲーム開始時にバトルゾーンに出せるカードがあるということだ。)

準備ができたなら次は封印の解放だ。封印は種族に「コマンド」を持つクリーチャーを出すことで同じ文明のカードの上にある封印を1枚墓地に送ることができる。「コマンド」とは、《悪魔神バロム》の「デーモン・コマンド」や《聖霊アルカディアス》の「エンジェル・コマンド」等の総称であり、そのイメージでは意外と難易度が高いように思われるかもしれない。現実では近年のコマンド・ドラゴンの大安売りによって封印を外すことは苦ではないので安心してほしい。

《禁断〜封印されしX〜》は火文明のカードなので火文明のコマンドを出していけばいい。そんな火文明のコマンドの中で簡単に封印を外していけるようなコマンドが...ソニック・コマンド達。通称「バイク」だ。

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侵略によってテンポ良く封印を外していくことができる「バイク」。単体でも攻撃性能が高いが、禁断を組み合わせることで詰めの息切れを防ぐことができる。

もちろん、バイク以外にも封印を簡単に外していけるカードは多数あるが、それはまた別の機会に。とにかく、難易度は高くないということを知っておいてもらえればいい。

 

そして封印を6枚外すことで裏返った《伝説の禁断 ドキンダムX》。パワー99999のT・ブレイカーでありながら(実質的な)全体除去と除去耐性まで持つオーバースペックなクリーチャーとなる。前述のバイクであれば、《轟く侵略 レッドゾーン》のT・ブレイカーで相手のシールドをすべて割り、返しに盤面処理をされても封印が残り1枚であればコマンドを出すだけで押し切ることができるというのがこのカードの強みだ。

だがもちろんメリットだけではない。目を引くのは「・このカードがバトルゾーン以外のゾーンにあれば、自分はゲームに負ける。」という特殊敗北条件だろう。《デーモン・ハンド》1枚で負け、スレイヤー・ブロッカーの前では成す術無しと弱点が目立つ部分もある。

じゃあ本当に強いのか?と思われるかもしれないが、過去に特殊敗北条件を持ちながらも環境で暴れていたカードがある。

そう、《無双竜機ボルバルザーク》だ。

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こいつも発売前はデメリットが目立ち評価は低かったが、発売後は知っての通り。加速していたデュエマ環境では「相手のシールドをブレイクしても殺しきれなければ返しに相手が圧倒的なリソースでこちらを圧殺」してくるという構図になっていた。つまり、《伝説の禁断 ドキンダムX》が除去されようがされまいが負けのようなものであった。

実質デメリットが無い...とまでは言えないがそれに近いメリットの塊な《伝説の禁断 ドキンダムX》は良環境を生み出していったのであった。

 

ここからが本題。長い歴史を持つデュエル・マスターズにおいてゲーム開始時に盤面におけるカードという異様な挙動をするカードが悪用されないわけがない。そんな《禁断 ~封印されしX~》を使ったテクニックを紹介していこう。

 

1.《オールデリート》

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オールデリート 闇文明 (11)
呪文
各プレイヤーは、バトルゾーン、手札、シールドゾーン、墓地にある自身のカードをすべて山札に加えてシャッフルする。

《オールデリート》は11マナの重量級呪文。マナゾーン以外のカードをすべてデッキに戻すことになり、トップ勝負に持ち込むことができるリセット呪文という見方ができる。

さて、《禁断 ~封印されしX~》のテキストにこんな一文がある。

「・この鼓動はバトルゾーンを離れない。」

つまり《オールデリート》を撃てば《禁断 ~封印されしX~》の上にある封印だけがデッキに戻っていき、《伝説の禁断 ドキンダムX》へと禁断解放する。相手のシールドは無くなっているため、そのまま攻撃して勝ちだ。

緑のマナブーストを連打していきいち早くこのカードを唱えるデッキもあるが、抜け道も存在する。《ラッキー・ダーツ》だ。

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ラッキー・ダーツ 光文明 (1)
呪文
自分のシールドをひとつ相手に選ばせ、見る。その中から、好きな枚数の呪文を、コストを支払わずに唱えてもよい。

 これで《オールデリート》を踏み倒すことができればそのまま勝利へ一直線だ。運が良ければ1ターンキルも可能。

ここで注意点が1つある。それは相手も《禁断 ~封印されしX~》を採用している場合だ。

《オールデリート》を撃てばお互いの《禁断 ~封印されしX~》が禁断解放することになるが、デュエル・マスターズのルールには「同時に能力が誘発した際にはターンプレイヤーから能力を解決する」と「能力解決中に新たに能力が誘発した際にその能力は割り込んで解決される」というものがある。つまり自分の《禁断 ~封印されしX~》の禁断解放が誘発して《伝説の禁断 ドキンダムX》に裏返った後《伝説の禁断 ドキンダムX》の相手クリーチャーに封印をつける能力が誘発し、相手の禁断解放の前に割り込まれて解決することになる。その後、相手の禁断解放が誘発して《伝説の禁断 ドキンダムX》に裏返り、こちらの《伝説の禁断 ドキンダムX》を封印してくる。自分は手札も何もないはずなのでターンを返すしかなく、相手はそのまま《伝説の禁断 ドキンダムX》で攻撃してくるというわけだ。

相手ターンに《オールデリート》を撃つことができれば問題は無いが、自分のターンでは負けに直結することは覚えておこう。

 

2.《爆流忍法 不死鳥の術》

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爆流忍法 不死鳥の術 火文明 (5)
呪文
バトルゾーンにある自分のカードを2枚選び、墓地に置く。その後、その中から火の進化ではないクリーチャーを1体選び、バトルゾーンに出す。

《爆流忍法 不死鳥の術》はバトルゾーンのカード2枚を墓地に置いて墓地から再び出すカード。cipの再利用などに使うことができるがもちろんそんな使い方をすることは稀。もうお気づきかもしれないが、封印を墓地に置いてその中から火のクリーチャーをバトルゾーンに出すことができる。

メンデルスゾーン》から5マナに繋いでこのカードを撃てば《超戦龍覇 モルト NEXT》だろうが《龍世界 ドラゴ大王》だろうが《勝利宣言 鬼丸「覇」》でも即座に出すことができるというわけだ。

 

3.《テック団の波壊Go!》

 

《禁断 ~封印されしX~》を採用していながらデッキにコマンドも入っていなければ自分で封印を剥がす手段を持っていないデッキがある。(2017年頃の【ジョーカーズ】が最たる例か)

なぜそんなデッキに《禁断 ~封印されしX~》が採用されているのか。それは相手の《テック団の波壊Go!》対策になるからだ。

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テック団の波壊Go! 水/闇文明 (7)
呪文
S・トリガー
次のうちいずれか1つを選ぶ。
►バトルゾーンにある相手のコスト5以下のカードをすべて、持ち主の手札に戻す。
►相手のコスト6以上のクリーチャーを1体、破壊する。

 封印はバトルゾーンにあるカードで、コストは0扱い。《テック団の波壊Go!》の上の能力、5コスト以下バウンスを受けた場合に封印を一気に手札に戻されるので、6枚手札が増えながら《伝説の禁断 ドキンダムX》へと禁断解放できる。このプランを採用しているデッキは5コスト以下のクリーチャーでビートダウンするデッキなので、最後の詰めとして優秀である。

また、デッキ圧縮という点でデッキ内の4枚投入されているカードが手札に来る確率を上げることができるという点もある。殿堂カードでは封印落ちしてしまう可能性もあるが4枚のカードが封印+シールドの11枚にすべて落ちてしまう確率は少ないだろう。

ちなみに《テック団の波壊Go!》が2枚トリガーしてしまうと1枚目で《伝説の禁断 ドキンダムX》に無理矢理禁断解放させられてしまい、2枚目で破壊されるという最悪の結末になってしまう。ハイリスクハイリターンとも言える。

 

 これらの他にも禁断の裏技的な使い方は多数存在する。詰めの一手にもフィニッシャーにもリソースカードにもなる禁断、是非試してみてほしい。